2024年8月27日火曜日

久々の真空管アンプ、真空管式スモーキーアンプを作る(3A5 + 3A4シングル)②

真空管スモーキーを段ボールブレッドボードで仮組したが、その回路図の話。
実物の写真や背景は以下①を参照してください。

黒字が定数値、赤字が実測値。
2枚のうち1枚目はリプルフィルタの抵抗が1kΩで、2枚目は220Ωに変えたもの。

カップリングコンデンサを104にしてライン入力で音楽を聞くとまあいい感じ。ウクレレのピエゾでは少し出力が物足りない。さらに電圧を上げるか、高能率のスピーカーに変えてみる?


2枚目のほうが高電圧のためか、少し大きな音が出る。
カソードのバイアス抵抗には、3A5だけでなく3A4のプレート電流も流れ込む。3A4の動作点を考えると-3.7Vのバイアスをかけたいので、180Ωから220Ωに差し替えたほうがよいかもしれない。

参考文献は以下。
Haruさんのコントロールアンプから、3A5の電圧増幅回路やグリッド抵抗の取り廻しを真似させていただく。

UX生さんが、3A5の低電圧での詳細な実測Ep-Ip図を公開してくださっており、動作点の検討に生かさせていただいた。

3A4はあまり作例がないので、昔のアプリケーションノートを参考に定数を決めた。

以上。

2024年8月26日月曜日

久々の真空管アンプ、真空管式スモーキーアンプを作る(3A5 + 3A4シングル)①

■電池管スモーキーの構想

ずいぶん昔、知人の愛煙家にアメスピの缶を大量にもらったので、スモーキーアンプのメタル版を作った。
久々に物置から出てきたのでいじってみたが、それなりに遊べる感じの音だ。
回路は本家の完全なパクリだが、実装は昔の自分ながら結構いい仕事をしていた。

 ボリュームに基板を固定し、いい具合にコンパクトに収めている。
 
スモーキーと一緒に死蔵していた電池管たちも発見。そういえば、メタルスモーキーの次は真空管スモーキーを作ろうと考えていたことを思い出した。

スモーキーアンプの回路図を探す中で以下の川端様のページを見つけ、自分でも作りたいと思って秋葉原で部品を集めたのだった。

当時は技術も知識も今以上に乏しく、ノイズ発生器しかできずに諦めてしまった。
今回は、当時の反省を生かしつつ電池管を生かし、ちゃんと音が出るものを目指して作ってみる。

■ブレッドボードで仮組
できたものがこちら。仮組だが、それなりのものにはなった。
ライン入力では一昔前のPCで鳴らしたくらいの音にはなる。
ウクレレのピエゾやギターを繋ぐといい感じだが、欲を言うともう少しゲインが欲しい。カップリングコンデンサが104のままだと低音が煩いので、472に変えるとちょうどよかった。

回路は以下の通り。
  1. A電源
    1. 構成
      1. アルカリ電池1.5V
  2. B電源
    1. 構成
      1. AC100V直結、ブリッジ整流、2段リプルフィルタ
    2. 供給電圧
      1. DC120V
    3. 主要素子
      1. 秋月の100uF/400V
      2. 抵抗は1kΩ、これで十分にリプル除去できていた。
  3. 増幅回路
    1. 構成
      1. 3A5電圧増幅2段、3A4電力増幅1段 ※無帰還
    2. 主要素子
      1. OPTはTOEIの一番安いもので、7kΩ:8Ωのタップを使用
      2. スピーカは秋月の安い樹脂コーンのもの。
      3. 3A5のプレート抵抗は両方とも33kΩ
      4. カソード抵抗は全体共通で180Ω+220uF。
      5. グリッドはすべて1MΩで設置
      6. カップリングコンデンサはフィルムの104 or 472。
      7. 各プレートには申し訳程度で1uF/250Vのセラコンも追加。
一応オリジナルの回路だが、ほぼ先人の回路を切り貼りしただけ。
回路図や参考資料などはまた後日記載予定。

できれば、電源のDC-DCコンバータ化、高電圧化、負帰還の追加あたりもやってみて、うまくいったものをちゃんと実装したいところ。

2024年8月16日金曜日

オーディオの電源検討

■前提

BLE→I2S→パワーアンプ→スピーカという構成でオーディオ環境を構築しようとしている。 BLEで繋ぐと、PCでもスマホでもワイアレスで簡単に運用できて便利。

  • 機器構成
    • BLE→I2S
      • M5ATOM Lite
    • I2S→アナログ
      • PCM5102A
    • アナログのパワーアンプ
      • 自作の386アンプ or ぺるけさんのTourer Part5
  • 各機器の電圧と消費電力
    • M5ATOM Lite
      • 5V or 3.3V
      • 80mA-125mAくらい
    • PCM5102A
      • 3.3V or 1.8V※デジタル部のみ
      • 10mAくらい
    • パワーアンプ
      • 12V
      • 数百mAくらい
  • 希望スペックというか制約条件
    • それぞれ必要な電圧が違うので、電圧変換が必要。
    • 主電源は12V1系統にしたい。(秋月ACアダプタ)
    • コンバータや3端子レギュレータはなるべく減らしつつ、省エネにしたい。
現在、バラック構成で複数系統の電源を繋いだ状態ではいい感じの音で鳴らせている。
これを、ひとまとまりのシステムとしてまとめたい。
そのために、電源をなんとかしたい。




■検証1:レギュレータ1発
NJM722333で単純に降圧し、ATOM LITEとPCM5102を繋いでみた。
12V->3.3Vでは電位差が大きすぎて、ヒートシンクをつけても手で触れないくらい熱くなる。
電流を計ってみると80mAくらい。
(12-3.3)*0.08=0.696≒0.7Wの消費。

■検証2:スイッチング電源
熱対策で、DC-DCコンバータを仕込んでみる。
12VからDC-DCで5Vを作ってそのままATOM LITEに入力し、さらに5V->3Vを722333で賄ってDACを動かすようにする。



NJM2460かMC34063を使えば、僅か8点で12Vから5Vが作れる。
ブレッドボードで上記の回路を組んで、定数と種類を変えてうまく動くか試験してみる。
しかし、ATOM LITEを動かせるくらいの電力を賄おうとすると、正しいパーツを選定しないといけない。

具体的には、C1の容量、L1のインダクタンスと種類が重要。
最初、有り合わせでC1に103=0.001uFを使っていたが、周波数が足りないようでどのL1と合わせても、無負荷では5Vになるが、マイコンを動かすだけの電力を作れなかった。
C1を先人の回路に合わせて470pFにしたうえで、L1も値と種類を変えて試してみたが、マイクロインダクタでは十分な電力が取れなかった。
マイコンどころか、100Ωの抵抗を繋ぐだけで電圧降下してしまう。約50mAの負荷にも耐えられないということ。

スイッチング周波数を計算すると、だいたい470pFでは40kHzで、0.001uFだと半分の20kHzになるようだ。

左の3つはNG,右の3つはOKで、特に一番端の220uFが安定した。
どうも、十分なコアを持つ巻き線型でないとスイッチング電源には不向きのよう。
今回は検証していないが、ダイオードも高速かつ低閾電圧のものを選ぶ必要がある。逆起電力への耐圧も必要。

奥深い。

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2024/8/18追記
スイッチング電源はうまく動いたものの、どうしてもノイズが乗ってしまうし、ATOM LITEの起動時のコンデンサの電荷の溜まり具合などの影響か、マイコンの起動がうまく動く時と動かない時があって安定しない。
また、7805で12V→5Vを作ってから他のLDO、AP7375で3.3Vを作るようにし、ATOM LITEは5Vで動かすようにすると、意外と大したことない発熱で済んだ。

7805側は、(12-5)=7Vで80mA、0.56Wの消費電力。小さいヒートシンクか、アルミケースに接触させれば十分放熱できた。
AP7375は、(5-3.3V)=1.7Vで20mA程度のため、34mW。SOT-23でも基板と配線だけで十分放熱できていた。
2段階で降圧することで、1段目のLDOの電位差が1.7V, 136mW減少する。数字で見ると大したことないが、いざ手元で作ってみると馬鹿にならない違いだった。
事前にあれこれ希望スペックを出して考えていたが、机上の空論よりまずやってみることが大事かも。

上記より、スイッチング電源は諦めて、LDOのみの構成とすることにした。

セラコン、マイクロインダクタ、3.3V LDOは表面実装にしたので表面はほとんど部品無し。
細かいので最初は手間取ったが、慣れればリード部品よりも早く実装できるくらい。
7805は実装面積を減らすため、基板裏面に配置し、そのままアルミケースに接触させるつもり。

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2024/08/26追記
今回の方式、単電源をそのまま使う386アンプではうまくいくが、ぺるけさんのTourer Part5ではうまくいかない。12Vを内部で疑似的に±6Vにして中点をGNDとしているので、そのままだとBLE DACのGNDとパワーアンプのGNDが異なってしまうため。
これを解消するため、7805の代わりに、12V→5Vの絶縁型コンバータを購入予定。
小さい巻き数2:1のトランスに12V方形波を突っ込めば何とかなりそうな気はするが、500円で買えるのでわざわざ組むより買うことに。