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2025年11月15日土曜日

dcdcコンバータの効率を測定する

真空管アンプを小型化するにはdcdcコンバータが不可欠です。重くて大きなパワートランスにご退場いただくのが一番効果的です。

普段よく作っているのですが、コイル・ダイオード・MOS-FET・コンデンサと組み合わせるパーツによってそもそも必要な電圧が得られなかったり、めちゃくちゃ入力電流を食う割に出力電流が取り出せない等、よくわからないことが多い気難しい存在です。

手軽に手に入る(そして安い)部品の中で、どんな組み合わせがよいのか総当たりで試すことにしました。

■結果
まず結果を載せます。
私の設計・実装技術の限界か、あまり効率がよくないです。
今回トライした中では、470pで1JU41、TK10Q60WかK13A60Dの組み合わせがよさそうです。


■コイルの補足
使ってるコイルたちはこちらです。
■回路
基本はこの構成ですが、ICはNJM2374、Tr側の抵抗は330Ω→3.3kΩ、分圧抵抗は2.35kΩにしています。簡単に部品を変えたいのでブレッドボードで組みます。

■負荷
10kΩ 5Wの酸化金属抵抗を複数組み合わせて、10k, 20k, 30k, 40kΩを作ります。240V 10kΩだと5.76Wに達するので4本を直並列にして1本2W以下しかかからないように調整しています。
6mA、8mA、12mA、24mAを取り出します。

■測定の工夫
入力12Vと出力240Vの両方を同時に電圧・電流測定する必要があります。繋ぎ替えが面倒なので、一気に測定できるようINA226モジュールを導入します。

入力12Vは直接電流と電圧を測定し、出力は負荷の電流と、NJM2374の基準電圧を取る5ピンを測定します。
240Vは直接測れないし、下手に分圧するポイントを増やすと消費電力が正しく測れなくなるためです。
基本は1.25Vのはずですが、高電圧の生成が追い付かなくなると電圧降下することもあります。
基準電圧を測っておけば電圧降下したこともわかるので大丈夫です。

https://www.amazon.co.jp/dp/B0F51MH7HY/

精度を求めるならStrawberry Linuxなどで売っているモジュールのほうがよさそうですが、安くてすぐ手に入るのでuxcellの日本国内出荷の基板にしました。

この基板はi2c接続で、アドレス0x44、裏面パッドをショートさせると0x45になりました。

■測定環境の構築
手早く測定したいので、rp2040-zeroにina226モジュール2枚を繋ぎ、thonny micropythonで測定結果の出力プログラムを書きます。

ina226の読み出しは、以下@elschopi氏のライブラリをお借りしました。

https://github.com/elschopi/TI_INA226_micropython

ソースコードというほどのものでは無いですが、一応載せておきます。

import ina226 from time import sleep from machine import Pin, I2C sw = Pin(29, Pin.IN, Pin.PULL_DOWN) # i2c i2c = I2C(1, scl=Pin(15), sda=Pin(14), freq=100000) address = i2c.scan() # ina226 ina0 = ina226.INA226(i2c, 0x44) ina1 = ina226.INA226(i2c, 0x45) sleep(0.1) ina0.set_calibration() ina1.set_calibration() sleep(0.1) i=0 while True:     if sw.value():         print("0x44\t{}\t{}\t{}".format(i, ina0.bus_voltage, ina0.current))         print("0x45\t{}\t{}\t{}".format(i, ina1.bus_voltage, ina1.current))         i=i+1     sleep(0.5) 

これで29pinをVccに繋いだときだけ測定結果が0.5s刻みで画面に出るようになります。
タブ区切りにしておけば、そのままExcelに貼って集計できます。

入出力が安定するまで待った結果を5点取得し、中央値を結果として利用しています。

■総評
あまり効率は上げられなかったものの、手持ちの中では使える組み合わせを洗い出し、ACアダプタで使う分には問題ない範囲だったので、これでよしとしておきます。

意外だったのは、SMDのTK10Q60WがTHTと変わらない性能だったこと。
また、TK2Q60Dの性能の低さ。on抵抗が高いとダメということでしょう。
1JU41はやはり強いです。RS1Mは全く対抗馬になりませんでしたが、US1Mでも及ばずでした。

■その他
最後に、実験風景など。

アドレス検証および2モジュール同時接続試験。

実際の測定。測定環境をしっかり準備したので、測定自体は相当スムーズにできました。

以上です。



2025年8月10日日曜日

真空管式Spring Reverb Driverを1590A手乗りサイズで作る③(実装編)

 3部作の最後です。

真空管式Spring Reverb Driverを1590A手乗りサイズで作る①(自作タンクの挫折編)
真空管式Spring Reverb Driverを1590A手乗りサイズで作る②(タンクの手配、回路検討、球とOpt転がし編)
真空管式Spring Reverb Driverを1590A手乗りサイズで作る③(実装編)

①でスプリングリバーブの勉強しつつタンクの自作に失敗し、②で有名メーカーのタンクを手に入れて回路検討からブレッドボードでの検証までを行いました。

最後、③ではHammond 1590Aへの組み込みを行います。

できたものはこちら。


音はXのポストをご参照ください。
pic.twitter.com/xS3DJKwRbS 

■実装

・配置の検討
まず大まかな配置を決めます。


で、各部品を加工しながら位置決めしていきます。

・Optの天地返し
T-600の中身をさかさまにして、実装しやすくします。慣れると5分くらいでサクっとできます。


・穴あけ

・仮組み

・実体配線図の最終化
ここまでくると位置関係も最終化できるので、実体配線図を考えます。あとはそれに従ってひらすら実装あるのみ。

・実装

途中経過。まず真空管ソケット部分の抵抗から。

DCDCコンバータ。


最終形の中身。

■まとめ
結果、手乗り真空管式Spring Reverb Driverとして仕上がりました。


今回、リバーブタンクを一通り使えるようになり、MIX回路やカソードフォロワもいじれるようになったのが大きいです。
この先の取り組みとして、キャビネットを作ってリバーブタンクとドライバー、そしてパワーアンプを一体で扱えるよにしたいですね。
木工が必要になるので、取り組みはだいぶ先になるかと思います。

以上です。

真空管式Spring Reverb Driverを1590A手乗りサイズで作る①(自作タンクの挫折編)

3部作です。

真空管式Spring Reverb Driverを1590A手乗りサイズで作る①(自作タンクの挫折編)
真空管式Spring Reverb Driverを1590A手乗りサイズで作る②(タンクの手配、回路検討、球とOpt転がし編)
真空管式Spring Reverb Driverを1590A手乗りサイズで作る③(実装編)


できたものはこちら。

左にあるAccutronicsのリバーブタンクを、12AX7+12AT7のコンビでドライブします。
最終段のカソードフォロワでLow-Zにしているので、後のアンプやエフェクターに悪さをしない作りになっています。

音はXのポストをご参照ください。

■構想

 真空管ギターアンプをいくつか作ってそこそこ満足したので、次のアイデア探していると「スプリングリバーブ」の面白い作例をいくつか発見。

  1. https://www.nicovideo.jp/watch/sm23725231
    1. ニコニコ動画。100均素材でスプリングから自作するというすごい例
  2. https://hayashimasaki.net/seisakuki/reverb.html
    1. 林先生のページ。

ぼちぼち勉強し、電気信号→物理的な振動に変えてスプリングを揺らし、その後さらにスプリングの振動を電気信号に戻すというのがわかった。
また、スプリングが入ったユニットのことを「リバーブタンク」と呼ぶこともわかった。
原理から勉強したいので、まずリバーブタンクから自作することにした。

■リバーブタンクの自作(挫折)

まずスプリングを自作した。適した材料がわからないので、とりあえずステンレス線を巻いてみる。
なんか反発が弱いので、バーナーで炙って焼き入れしてみる。


毛虫みたいです。

386アンプで鳴らしてみると、一応スプリング越しの音は出ている。

ただし、この後リバーブの音と原音(DRY)を混ぜようとすると全くうまくいかない。
諦めて、オークションでちゃんとしたリバーブタンクを買ってそちらで勉強することに方針切り替え。

後ほど本物のタンクを買ってから試した結果ですが、ばねの張りが弱すぎるのと、スピーカーの特性からごく低域しか伝播していないことが問題でした。
もし再トライするなら、しっかり張りのある強いばねをつかって、固定方法も変える必要がありそうです。

以降、②に続きます。(リンク)







2025年7月8日火曜日

PETのフタで世界最小のFuzz Faceを作る

(たぶん)世界最小のエフェクター、ボトルキャップFuzz Faceを作りました。

ペットボトルのキャップに、INとOUTの3.5mmジャックとDCコネクタ、VolとFuzzのノブ、電子回路のすべてが詰まっています。
プリント基板や部品実装サービスは一切使わずに、ユニバーサル基板で手作りしています。

必要な部品はすべて秋月電子で手に入ります。

■構想段階
Xを見ていたらガチャガチャの景品サイズのエフェクターなるものを見つけました。
Otodelさんのは実際に動くものです。

こういうものを見ると俄然燃えてきます。
これまでエフェクターについては6.3mmジャックと電池内蔵を前提に考えてきましたが、ミニジャック3.5mmを使えるなら話は別です。
まだまだ小さく攻める余地はあるはず。
とにかく小さい回路を手で作るのが好きなんです。

ライバルとレギュレーションを揃える意味で、3.5mmジャックは使うものの、電源端子は2.1mmを搭載することに。
ただ、単純に小さいだけじゃ面白くないですし、プリント基板を使った既製品と競ってもいい結果にならないと思います。

他の回路開発も進めながら何となく考えていると、Fuzz Faceの丸とペットボトルのフタが頭の中で重なって、「Bottle Cap Fuzz Face」というキャッチーなネタが降ってきました。
語感もいいし、皆さんがイメージしやすいサイズでインパクトもありそうなのでこれでいくことに。

■実装検討
ポッドは半固定抵抗を活用。
ジャックはマル信無線のスルーホール実装のを使うとコンパクトに済むし、ちょうどボトルキャップの直径と同じくらいでいい感じ。
DCも、上下のクリアランスを使えばうまく入る。
スイッチは、オルタネートで秋月で簡単に手に入るのはDPDTまでだったので、トゥルーバイパスは諦めて、OFFでもIN側がぶら下がるつくりで妥協する。
このデバイスに音質を求める人はいないし、LEDを光らせるほうがよほど大事だからです。

実際にケース加工して押し込んでみる。左側はより目になって失敗したもの。
2つ目のキャップは大成功。

Hammond 1850Bと比べると小ささが際立つ。

配線前の姿。頑張ればゲルマトランジスタでも使えそうな余裕がある。

■実体配線図と基板作成
検討した実体配線図と、必要な部品を集める。
いい容量のTaコンデンサが手に入ったので、一部は積層セラミックコンデンサではなくTaにした。

コツとして、最初にチップ部品を木工用ボンドで仮止めする。
ボンドは、紙に多めに出して、リード線の切れ端ですくって使うのがおすすめ。
右下のほうの白い四角はLEDです。モードによって色が変わったら面白いかな、と。

あとは、配線引っ張ったりはんだ付けするのみ。

配線完了し試奏するも、バイパスなら音が出るのに、エフェクトONだと無音です。
配線を総チェックするも、すべてOK。
次に、コンデンサと抵抗の容量をすべて測っていく。
すると、2段目のトランジスタのコレクタに繋がっている7.5kΩ(原典は8.2kΩ)が数MΩになっている。
抵抗を焼き壊したっぽいので、置き換えないといけない。
しかしながら、ここで抵抗を無理に張り替えようとすると基板の蛇の目が取れたり、他のパーツが焼けたりとうまくいかない可能性が高い。
ここは、実利を取ることにして、元の抵抗のうえにもっと小さい1608の抵抗7.5kΩを載せてしまうことにした。
以下の画像が、子亀が乗った後の図。

結果、トラブル解消しうまく音が出るようになりました。
世界最小のFuzz Face、たぶんDC2.1mmジャックが差せる中では世界最小級のエフェクターの完成です。

実際の動作はXで見てみてください。

以上。

2024年10月3日木曜日

Mini Watter 6DJ8を作る

http://www.op316.com/tubes/mw/mw-6dj8pp-2017.htmの6DJ8全段差動PPミニワッター2017を作った。

■回路

回路、ラグの配置は原典をほぼ踏襲。
ラグは配置の問題から10+10の2枚に分けて、30V ZDの部分だけを片ラグに置き換える。
また、MT9ピンソケット周りも片ラグを排して空中配線する。
原典より小さい100x50x200mm程度のシャーシを使ったので、クリアランスがかなり厳しかったので、もう少し大きいシャーシがオススメ。
電源と無線系はシャーシの側面に配置し、電源トランスやアウトプットトランスの上にも基盤を配置するなど結構無理やり詰め込んでいる。

■費用

トランスが非常にお高く、電源用とOPT2つで3万近くなり、今回の構築費用の7割程度を占める。
真空管はヤフオクで旧ソ産2本2,300円のものをゲット。

■写真など

まずは電源を作ってテスト。


余っていたアルミシャーシを加工。
穴はステップドリルで一発だが、ニブラで綺麗に直線を切り出すのが難しい。

トランスの結線と配線の色を確認。右上にうっすら見えているのはメインの回路を組んだラグ板。

粗く配置を検討。

位置が決まったら、どんどん実装していく。

だいぶそれらしくなってきた。

あともう一息。








ここまで配線すればパワーアンプとしては完成。このときはAC100Vの配線直結だったが、あとでメガネコネクタ化してヒューズも追加した。
最後に、M5stamp+PCM5102Aで作ったBluetooth+I2Sユニットを組み込んで、スマホやPCから無線で直接ならせるようにしたら完成。

前に作ったトランジスタのTourer Part 5といい具合に収まっている。筐体は小さいが、トランスがあるので持ち上げると結構重い。

暗がりだとヒーターの灯りが映える。
せっかく旧ソ連の球なので、旧ソ連の音楽が聴きたくなる。

夜な夜な作業して、電源回路を組んでからパワーアンプとして動くまでだいたい7日、さらにBluetoothを組み込むのに4日くらいかかった。
慣れた人が集中してやれば土日で作れるかもしれない。
BOM(部品一覧)をちゃんと作って、1回の秋葉原詣でや通販で部品を仕入れ切るのがポイントかも。

音を出してみた感想は、さすがという感じ。
最初はヒーターの配線がイマイチでハムノイズがあったが、経路の見直しを行ったら非常にしずかで聞きやすくなった。

2024年8月27日火曜日

久々の真空管アンプ、真空管式スモーキーアンプを作る(3A5 + 3A4シングル)②

真空管スモーキーを段ボールブレッドボードで仮組したが、その回路図の話。
実物の写真や背景は以下①を参照してください。

黒字が定数値、赤字が実測値。
2枚のうち1枚目はリプルフィルタの抵抗が1kΩで、2枚目は220Ωに変えたもの。

カップリングコンデンサを104にしてライン入力で音楽を聞くとまあいい感じ。ウクレレのピエゾでは少し出力が物足りない。さらに電圧を上げるか、高能率のスピーカーに変えてみる?


2枚目のほうが高電圧のためか、少し大きな音が出る。
カソードのバイアス抵抗には、3A5だけでなく3A4のプレート電流も流れ込む。3A4の動作点を考えると-3.7Vのバイアスをかけたいので、180Ωから220Ωに差し替えたほうがよいかもしれない。

参考文献は以下。
Haruさんのコントロールアンプから、3A5の電圧増幅回路やグリッド抵抗の取り廻しを真似させていただく。

UX生さんが、3A5の低電圧での詳細な実測Ep-Ip図を公開してくださっており、動作点の検討に生かさせていただいた。

3A4はあまり作例がないので、昔のアプリケーションノートを参考に定数を決めた。

以上。

2024年8月26日月曜日

久々の真空管アンプ、真空管式スモーキーアンプを作る(3A5 + 3A4シングル)①

■電池管スモーキーの構想

ずいぶん昔、知人の愛煙家にアメスピの缶を大量にもらったので、スモーキーアンプのメタル版を作った。
久々に物置から出てきたのでいじってみたが、それなりに遊べる感じの音だ。
回路は本家の完全なパクリだが、実装は昔の自分ながら結構いい仕事をしていた。

 ボリュームに基板を固定し、いい具合にコンパクトに収めている。
 
スモーキーと一緒に死蔵していた電池管たちも発見。そういえば、メタルスモーキーの次は真空管スモーキーを作ろうと考えていたことを思い出した。

スモーキーアンプの回路図を探す中で以下の川端様のページを見つけ、自分でも作りたいと思って秋葉原で部品を集めたのだった。

当時は技術も知識も今以上に乏しく、ノイズ発生器しかできずに諦めてしまった。
今回は、当時の反省を生かしつつ電池管を生かし、ちゃんと音が出るものを目指して作ってみる。

■ブレッドボードで仮組
できたものがこちら。仮組だが、それなりのものにはなった。
ライン入力では一昔前のPCで鳴らしたくらいの音にはなる。
ウクレレのピエゾやギターを繋ぐといい感じだが、欲を言うともう少しゲインが欲しい。カップリングコンデンサが104のままだと低音が煩いので、472に変えるとちょうどよかった。

回路は以下の通り。
  1. A電源
    1. 構成
      1. アルカリ電池1.5V
  2. B電源
    1. 構成
      1. AC100V直結、ブリッジ整流、2段リプルフィルタ
    2. 供給電圧
      1. DC120V
    3. 主要素子
      1. 秋月の100uF/400V
      2. 抵抗は1kΩ、これで十分にリプル除去できていた。
  3. 増幅回路
    1. 構成
      1. 3A5電圧増幅2段、3A4電力増幅1段 ※無帰還
    2. 主要素子
      1. OPTはTOEIの一番安いもので、7kΩ:8Ωのタップを使用
      2. スピーカは秋月の安い樹脂コーンのもの。
      3. 3A5のプレート抵抗は両方とも33kΩ
      4. カソード抵抗は全体共通で180Ω+220uF。
      5. グリッドはすべて1MΩで設置
      6. カップリングコンデンサはフィルムの104 or 472。
      7. 各プレートには申し訳程度で1uF/250Vのセラコンも追加。
一応オリジナルの回路だが、ほぼ先人の回路を切り貼りしただけ。
回路図や参考資料などはまた後日記載予定。

できれば、電源のDC-DCコンバータ化、高電圧化、負帰還の追加あたりもやってみて、うまくいったものをちゃんと実装したいところ。