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2025年10月26日日曜日

Push-Pull習作:12AX7-12AT7-12BY7A pp Amp、Non Deluxe Non Reverb Add AC30を作る

(※注意:本稿では高電圧を扱う回路を木片で作成しておりますが、万一同様の取り組みをなされるときは感電、火災にご注意ください。特に木片の絶縁性能は湿度などの環境で大きく変化する可能性があるため、ご注意ください。)

■動機

最近、 Xを通じてエフェクターやアンプを作っている方々と繋がりを持てたことで、製作のモチベーションも上がったし、先輩から指導や情報共有いただけることで学習曲線が大幅に上向いてきたように感じます。

その中で気になっていたのが、真空管ギターアンプを主に作っている方々が皆Push-Pullを主に作られていること。何か理由があるはずなので、それを探るべくPush-Pullアンプを作ってみることに決定。

■構成の検討

Leo Fenderを勝手に尊敬しているので、やはり最初はLeoさんの回路を参考にしたい。Reverbを作るときによく見ていたし、Fender系でいいアンプとしてよく名前を聞くのでDeluxe Reverb(デラリバ)を元ネタにすることに決定。

ただし、デラリバはリバーブあり、トレモロあり、というデラックスでゴージャスな構成なので、習作でいきなり全部作るのは荷が重い。また、固定バイアスで負電源C -35Vがいるのもちょっと面倒。

まず、リバーブは前に作ったし、トレモロは個人的にあまり必要性を感じないのでオミットする。デラックスじゃなくなる。

バイアスについては、同じく古典回路で出力段が自己バイアスなVOX AC30にも元ネタになっていただく。AC30はグリッド抵抗をそのまま接地する代わりに、4球のKを50Ωで接地している。これは楽でいいです。

■球の検討

Leoさんに倣いつつ手持ちですぐ使える球として、12AX7を選定。最初はムラード位相反転にも12AX7を使おうとしていたが、よく考えたら手持ちに12AT7があったのでそちらに変更。

出力管は、12AQ512BY7Aで迷いつつ、MT9ピンで揃えたら綺麗だなと思ったのと、今回は電源トランスを使うので12AQ5では6.3V1層で点火できないので、12BY7Aを使うことに決定。

■回路図

構成、球が決まったので、回路図に落とし込む。


特別なことはなく、素直に元ネタを清書しただけです。

■実体配線図

今回は、手早く金属加工せずに実験したいので、合板と真鍮釘、金属板を少々使って元祖ブレッドボードで作ります。

この実体配線は我ながらなかなかいい出来なんじゃないかと。

■実装

今回、実装が一番面白いのではと思います。色々と工夫を凝らして、安くて手堅く、金属加工レスで実装しています。

VRと真空管ソケットはホームセンターの安いL字金具を活用。1個数十円。特に真空管ソケット部分は、合板の側面にネジ止めし、黒く塗った割りばしに鋼線で縛りつけています。ある程度の強度はあるのに、楽に加工できます。


また、元祖ブレッドボードでは、ネジと圧着端子があれば基板のどこでも端子台になります。これがまた便利です。

ちなみに、真鍮釘は垂直にペンチを構えて圧入するのが一番オススメです。叩くより静かでミスしにくいです。圧入できないような堅い木はブレッドボードには向かないでまず木を替えましょう。


完成形です。NFBはこの後付けました。

トランスはゼネラルトランスさんのPMF-8P-10Kを利用。PPトランスの中ではかなりお買い得。

■試験

NFBも実装し、音出し試験完了。感想としては、「太い、広がりがある」。出力段の信号経路にケミコンが無い故か、低域からしっかり音が出て、朗々とした印象を受けます。

歪み方も、ファズのように毛羽だってじゅわじゅわする感じで、同じ球を使った12AX7-12BY7A Champとは別物に感じます。

今度はスタジオでしっかり鳴らして、もっと違いを深堀したいと思います。

■測定(途中、後編に続く?)

一通り音を楽しんだので、最後に要所を実測。Blogを書くうちに眠たくなってきたので、値のみメモします。

BY7 Erp=218V Ek=3V Ik=30mA Ig2=3mA Eg2=155V AT7マラード Erp=135V Ep=78.7V,69.6V Ek=29.2V Ik=1.4mA AX7後 Erp=124V Ep=72.6V Ek=0.67V Ip=0.52mA AX7前 Erp=124V Ep=81V Ek=0.65V Ip=0.44mA

ちなみに、Erpはプレート負荷抵抗の電源側の対GND電圧です。(Erp - Ep)÷Rp=Ipです。

細かい分析と次のアクション案はまた今度。

以上。



2025年8月10日日曜日

真空管式Spring Reverb Driverを1590A手乗りサイズで作る③(実装編)

 3部作の最後です。

真空管式Spring Reverb Driverを1590A手乗りサイズで作る①(自作タンクの挫折編)
真空管式Spring Reverb Driverを1590A手乗りサイズで作る②(タンクの手配、回路検討、球とOpt転がし編)
真空管式Spring Reverb Driverを1590A手乗りサイズで作る③(実装編)

①でスプリングリバーブの勉強しつつタンクの自作に失敗し、②で有名メーカーのタンクを手に入れて回路検討からブレッドボードでの検証までを行いました。

最後、③ではHammond 1590Aへの組み込みを行います。

できたものはこちら。


音はXのポストをご参照ください。
pic.twitter.com/xS3DJKwRbS 

■実装

・配置の検討
まず大まかな配置を決めます。


で、各部品を加工しながら位置決めしていきます。

・Optの天地返し
T-600の中身をさかさまにして、実装しやすくします。慣れると5分くらいでサクっとできます。


・穴あけ

・仮組み

・実体配線図の最終化
ここまでくると位置関係も最終化できるので、実体配線図を考えます。あとはそれに従ってひらすら実装あるのみ。

・実装

途中経過。まず真空管ソケット部分の抵抗から。

DCDCコンバータ。


最終形の中身。

■まとめ
結果、手乗り真空管式Spring Reverb Driverとして仕上がりました。


今回、リバーブタンクを一通り使えるようになり、MIX回路やカソードフォロワもいじれるようになったのが大きいです。
この先の取り組みとして、キャビネットを作ってリバーブタンクとドライバー、そしてパワーアンプを一体で扱えるよにしたいですね。
木工が必要になるので、取り組みはだいぶ先になるかと思います。

以上です。

真空管式Spring Reverb Driverを1590A手乗りサイズで作る①(自作タンクの挫折編)

3部作です。

真空管式Spring Reverb Driverを1590A手乗りサイズで作る①(自作タンクの挫折編)
真空管式Spring Reverb Driverを1590A手乗りサイズで作る②(タンクの手配、回路検討、球とOpt転がし編)
真空管式Spring Reverb Driverを1590A手乗りサイズで作る③(実装編)


できたものはこちら。

左にあるAccutronicsのリバーブタンクを、12AX7+12AT7のコンビでドライブします。
最終段のカソードフォロワでLow-Zにしているので、後のアンプやエフェクターに悪さをしない作りになっています。

音はXのポストをご参照ください。

■構想

 真空管ギターアンプをいくつか作ってそこそこ満足したので、次のアイデア探していると「スプリングリバーブ」の面白い作例をいくつか発見。

  1. https://www.nicovideo.jp/watch/sm23725231
    1. ニコニコ動画。100均素材でスプリングから自作するというすごい例
  2. https://hayashimasaki.net/seisakuki/reverb.html
    1. 林先生のページ。

ぼちぼち勉強し、電気信号→物理的な振動に変えてスプリングを揺らし、その後さらにスプリングの振動を電気信号に戻すというのがわかった。
また、スプリングが入ったユニットのことを「リバーブタンク」と呼ぶこともわかった。
原理から勉強したいので、まずリバーブタンクから自作することにした。

■リバーブタンクの自作(挫折)

まずスプリングを自作した。適した材料がわからないので、とりあえずステンレス線を巻いてみる。
なんか反発が弱いので、バーナーで炙って焼き入れしてみる。


毛虫みたいです。

386アンプで鳴らしてみると、一応スプリング越しの音は出ている。

ただし、この後リバーブの音と原音(DRY)を混ぜようとすると全くうまくいかない。
諦めて、オークションでちゃんとしたリバーブタンクを買ってそちらで勉強することに方針切り替え。

後ほど本物のタンクを買ってから試した結果ですが、ばねの張りが弱すぎるのと、スピーカーの特性からごく低域しか伝播していないことが問題でした。
もし再トライするなら、しっかり張りのある強いばねをつかって、固定方法も変える必要がありそうです。

以降、②に続きます。(リンク)







2025年7月8日火曜日

PETのフタで世界最小のFuzz Faceを作る

(たぶん)世界最小のエフェクター、ボトルキャップFuzz Faceを作りました。

ペットボトルのキャップに、INとOUTの3.5mmジャックとDCコネクタ、VolとFuzzのノブ、電子回路のすべてが詰まっています。
プリント基板や部品実装サービスは一切使わずに、ユニバーサル基板で手作りしています。

必要な部品はすべて秋月電子で手に入ります。

■構想段階
Xを見ていたらガチャガチャの景品サイズのエフェクターなるものを見つけました。
Otodelさんのは実際に動くものです。

こういうものを見ると俄然燃えてきます。
これまでエフェクターについては6.3mmジャックと電池内蔵を前提に考えてきましたが、ミニジャック3.5mmを使えるなら話は別です。
まだまだ小さく攻める余地はあるはず。
とにかく小さい回路を手で作るのが好きなんです。

ライバルとレギュレーションを揃える意味で、3.5mmジャックは使うものの、電源端子は2.1mmを搭載することに。
ただ、単純に小さいだけじゃ面白くないですし、プリント基板を使った既製品と競ってもいい結果にならないと思います。

他の回路開発も進めながら何となく考えていると、Fuzz Faceの丸とペットボトルのフタが頭の中で重なって、「Bottle Cap Fuzz Face」というキャッチーなネタが降ってきました。
語感もいいし、皆さんがイメージしやすいサイズでインパクトもありそうなのでこれでいくことに。

■実装検討
ポッドは半固定抵抗を活用。
ジャックはマル信無線のスルーホール実装のを使うとコンパクトに済むし、ちょうどボトルキャップの直径と同じくらいでいい感じ。
DCも、上下のクリアランスを使えばうまく入る。
スイッチは、オルタネートで秋月で簡単に手に入るのはDPDTまでだったので、トゥルーバイパスは諦めて、OFFでもIN側がぶら下がるつくりで妥協する。
このデバイスに音質を求める人はいないし、LEDを光らせるほうがよほど大事だからです。

実際にケース加工して押し込んでみる。左側はより目になって失敗したもの。
2つ目のキャップは大成功。

Hammond 1850Bと比べると小ささが際立つ。

配線前の姿。頑張ればゲルマトランジスタでも使えそうな余裕がある。

■実体配線図と基板作成
検討した実体配線図と、必要な部品を集める。
いい容量のTaコンデンサが手に入ったので、一部は積層セラミックコンデンサではなくTaにした。

コツとして、最初にチップ部品を木工用ボンドで仮止めする。
ボンドは、紙に多めに出して、リード線の切れ端ですくって使うのがおすすめ。
右下のほうの白い四角はLEDです。モードによって色が変わったら面白いかな、と。

あとは、配線引っ張ったりはんだ付けするのみ。

配線完了し試奏するも、バイパスなら音が出るのに、エフェクトONだと無音です。
配線を総チェックするも、すべてOK。
次に、コンデンサと抵抗の容量をすべて測っていく。
すると、2段目のトランジスタのコレクタに繋がっている7.5kΩ(原典は8.2kΩ)が数MΩになっている。
抵抗を焼き壊したっぽいので、置き換えないといけない。
しかしながら、ここで抵抗を無理に張り替えようとすると基板の蛇の目が取れたり、他のパーツが焼けたりとうまくいかない可能性が高い。
ここは、実利を取ることにして、元の抵抗のうえにもっと小さい1608の抵抗7.5kΩを載せてしまうことにした。
以下の画像が、子亀が乗った後の図。

結果、トラブル解消しうまく音が出るようになりました。
世界最小のFuzz Face、たぶんDC2.1mmジャックが差せる中では世界最小級のエフェクターの完成です。

実際の動作はXで見てみてください。

以上。

2024年10月3日木曜日

ZO-3ギターを、ハム⇔シングルで切り替えられるようにする

ハムバッカー4芯化で学習した内容を実践してみる。

スイッチ増設するか迷った末、安さと実装の楽さからピンヘッダ方式に決定。どうせライブで使うわけではないので結果十分だった。

最初は、4芯化して2回路3ポジションのスイッチでシングル⇔ハム⇔パラレルシングルの切替をできるようにしようと考えていたが、できるだけボディを加工したくないし、まずはシングルの音が使えればいいと割り切った。

この場合、2つのコイルを結んだ部分とGNDを短絡するかどうかを切り替えるだけでよい。

原理は以下の図に示す通り。
A-~B+の結線を、B-が繋がっているGNDに図右側のオレンジの線で短絡させると、Bのコイルの信号はすべてGNDに吸われるので、Aの信号だけが出る"シングルコイル"として使えるようになるというわけ。

今回はピックアプの端っこにピンヘッダをくっ付けて、シングルにしたいときだけヘッダを短絡させる作りにした。

元々はこんな状態。


シングル化の効果は聞き分け・弾き分けできるくらい顕著。
パワーが落ちる分ボリュームを上げる等対応は必要だけど、1台で出せるキャラクターの幅が大きく広がって楽しい。

ボディの加工に比べると数段楽で、気軽に試せる範囲と思う。