2026年9月7日月曜日

今さらRaspberry Pi Zero Wと液晶HATでVolumio 2 再生環境を作る 1.目的~環境設定

 ■目的
現状は、スマホ→Bluetooth→DAC→Power Ampという環境。
これだと、音楽を聴いているときにスマホで動画を見ると、動画の音声がスピーカーから出てくるので困るときがある。

なので、音楽はPi Zeroで再生し、スマホを独立して使えるようにしたい。

道具箱を漁るとPi Zero WとPCM5102Aが出てきたので、こちらで音楽を再生できるようにする。

■操作画面
せっかくなので、単体動作できるよう液晶画面とスイッチもつけることにする。
アリエクを彷徨い、安くてよさそうなHATを発見。
https://spotpear.com/shop/Raspberry-Pi-Game-1.54inch-LCD-touchscreen-display-ST7789.html

ST7789という定番の液晶に、センターあり十字キー、ABXY、LR、Start/Selectの合計13キーがついたお得セット。
2026年8月時点で千円以下というお得な商品だった。

■環境の前提
Pi Zeroは古いアーキテクチャのArmなので、Debian 8.0ベースのVolumio 2しか動かせず、Pythonも3.4止まり。
これが結構鬼門で、2026年時点だと単純にはaptやpip3で導入できないパッケージがあったりする。

本稿では、ここを丁寧に記録する。
昔はこのあたりの調査検証だけで何日もかかったが、Geminiの無料枠を使うことで、半日ほどで動作環境を整えることができた。

■環境構築
・OS
Volumio 2を探す。
先月までは以下のDownloadリンクから取得できたが、今だと404になる。一応リンクは残しておくが、探しなおしが必要になる可能性が高い。
https://updates.volumio.org/pi/volumio/2.917/volumio-2.917-2021-10-06-pi.img.zip

念のため本リンクを見つけたフォーラムのリンクも。
https://community.volumio.com/t/volumio-2-download-url/52893/3

Pi Zeroが存在する以上、ver2系のリンクも本家がちゃんとリンクを残しておくべきではとは思いますね。

imgが手に入ったら、あとはPi ImagerやddなどのツールでmicroSDに焼き込む。

・OS初期設定
まず大前提として、初手はWeb管理ツールで行うことを強く推奨。
調子に乗ってCUIから/etc/network/interfacesなどを触ると設定が自動で上書きされて消える等で辛いことになる。

スマホ等からVolumioのアクセスポイントに繋ぎこむ。
設定方法は省略するが、自分のwifiに繋がせ、固定IPにし、sshを有効化する。

DACは自分の繋ぎこむHATに合わせて選択。
今回は秋月のPCM5102A変換基板を自分で接続するので、Generic I2S DACを選択。

・実効環境設定
ここからが本番。

まずraspiとpython関係をaptで入れる。

# apt install -y raspi-config python3 python3-pip python3-pil python3-numpy python3-rpi.gpio

# apt install -y locales fonts-dejavu-core

 ST7789とmpdはaptやpip3では必要なバージョンが入らないので、ソースを直接落としてきて対応する。

$ wget --no-check-certificate https://github.com/pimoroni/st7789-python/archive/refs/tags/v0.0.4.zip
$ unzip v0.0.4.zip
$ cp st7789-python-0.0.4/library/ST7789/__init__.py /usr/local/lib/python3.4/dist-packages/ST7789.py

$ git clone https://github.com/Mic92/python-mpd2.git
$ cd python-mpd2/
$ git checkout v0.5.5
$ python3 setup.py install

両方とも、古いバージョンにしないとpython3.6以降のモダンな構文のため動かないので要注意。

raspi-configでSPIを有効化。

ここまで準備すれば、あとはPythonプログラムを用意すればOK。後編へ。







ボトルキャップFuzzFaceを手で実装する

 参考動画です
よくある30Wのはんだこてでも、JIS0603を掴めるピンセットさえあれば実装可能です
基板と素子の過熱にはご注意ください

https://www.youtube.com/watch?v=xd50MJksndE



2026年7月6日月曜日

PGM東京2026での基板ご購入者様へ

 07/05のPGM東京2026で基板ご購入いただいた皆様、どうもありがとうございました。

部品リスト掲載が遅れ申し訳ございません。

回路図と必要な部品一覧、備考を記載いたします。

■名刺基板

回路図


実装部品

  • 備考
    • 抵抗はすべてJISの1608サイズのSMDです
    • 高いW数のSMDは手に入らないと思いますので、コンデンサの足に直接抵抗を巻き付ける等工夫してください

リスト外部品

  • 出力トランス 東栄T-600
  • マックエイト ソケット君 0.9mm
  • 電源スイッチ
    • SW_Slide_SPDT_Straight_CK_OS102011MS2Q
    • 千石にあるはずです
  • 6.3mmジャック
  • 250V電源
    • DCDCを自作するか、電源トランスを繋ぎこんでください

■昇圧基板

※本品は色々なものを犠牲にして小さくしているため、実装難易度が高い点にご留意ください
※名刺基板の電源としては、aitendoやAmazonなどで適当な12V→250V昇圧基板を入手して代替いただくことをお勧めします

回路図

3D実装

実装部品

  • 備考
    • R1
      • 電流制限抵抗0.22mΩをつけるパッドだけは用意していますが、基板上には乗らないです
      • あるべき使い方ではないですがショートさせています
    • L1
    • C3
      • この耐圧・容量の素子は手に入らないと思います
      • 実装せずに基板の外に高耐圧のコンデンサを用意するか、容量が小さいコンデンサを載せてください
    • D2
      • このダイオードの性能で出力できる電圧・電流が大きく変わるのでご注意ください
    • Q1
    • U1

■Bottle Cap Fuzz Face

回路図


実装部品


※Bottle Cap Fuzz Faceについては後日追加で記載いたしますのでしばしお待ちください

2026/07/10追記

レイアウト両面です。

表面:こちらへ半固定抵抗、ジャック、スイッチを実装してください。
 NPNトランジスタを使うときは、以下のように電源とLEDを配線してください。

裏面:大半のTr, R, Cはこちらに実装します。まずSMDを実装することをお勧めします。


THT部品はすべて秋月で購入可能です。

他は、1608の抵抗と0805のコンデンサ、3.4x3.0mmのLEDを集めればOKです。

ジャックとスイッチは代用が効かないので、早めに確保することをオススメします。


時間に余裕ができたら組み立て動画もUpする予定です。

以上。

2025年11月15日土曜日

dcdcコンバータの効率を測定する

真空管アンプを小型化するにはdcdcコンバータが不可欠です。重くて大きなパワートランスにご退場いただくのが一番効果的です。

普段よく作っているのですが、コイル・ダイオード・MOS-FET・コンデンサと組み合わせるパーツによってそもそも必要な電圧が得られなかったり、めちゃくちゃ入力電流を食う割に出力電流が取り出せない等、よくわからないことが多い気難しい存在です。

手軽に手に入る(そして安い)部品の中で、どんな組み合わせがよいのか総当たりで試すことにしました。

■結果
まず結果を載せます。
私の設計・実装技術の限界か、あまり効率がよくないです。
今回トライした中では、470pで1JU41、TK10Q60WかK13A60Dの組み合わせがよさそうです。


■コイルの補足
使ってるコイルたちはこちらです。
■回路
基本はこの構成ですが、ICはNJM2374、Tr側の抵抗は330Ω→3.3kΩ、分圧抵抗は2.35kΩにしています。簡単に部品を変えたいのでブレッドボードで組みます。

■負荷
10kΩ 5Wの酸化金属抵抗を複数組み合わせて、10k, 20k, 30k, 40kΩを作ります。240V 10kΩだと5.76Wに達するので4本を直並列にして1本2W以下しかかからないように調整しています。
6mA、8mA、12mA、24mAを取り出します。

■測定の工夫
入力12Vと出力240Vの両方を同時に電圧・電流測定する必要があります。繋ぎ替えが面倒なので、一気に測定できるようINA226モジュールを導入します。

入力12Vは直接電流と電圧を測定し、出力は負荷の電流と、NJM2374の基準電圧を取る5ピンを測定します。
240Vは直接測れないし、下手に分圧するポイントを増やすと消費電力が正しく測れなくなるためです。
基本は1.25Vのはずですが、高電圧の生成が追い付かなくなると電圧降下することもあります。
基準電圧を測っておけば電圧降下したこともわかるので大丈夫です。

https://www.amazon.co.jp/dp/B0F51MH7HY/

精度を求めるならStrawberry Linuxなどで売っているモジュールのほうがよさそうですが、安くてすぐ手に入るのでuxcellの日本国内出荷の基板にしました。

この基板はi2c接続で、アドレス0x44、裏面パッドをショートさせると0x45になりました。

■測定環境の構築
手早く測定したいので、rp2040-zeroにina226モジュール2枚を繋ぎ、thonny micropythonで測定結果の出力プログラムを書きます。

ina226の読み出しは、以下@elschopi氏のライブラリをお借りしました。

https://github.com/elschopi/TI_INA226_micropython

ソースコードというほどのものでは無いですが、一応載せておきます。

import ina226 from time import sleep from machine import Pin, I2C sw = Pin(29, Pin.IN, Pin.PULL_DOWN) # i2c i2c = I2C(1, scl=Pin(15), sda=Pin(14), freq=100000) address = i2c.scan() # ina226 ina0 = ina226.INA226(i2c, 0x44) ina1 = ina226.INA226(i2c, 0x45) sleep(0.1) ina0.set_calibration() ina1.set_calibration() sleep(0.1) i=0 while True:     if sw.value():         print("0x44\t{}\t{}\t{}".format(i, ina0.bus_voltage, ina0.current))         print("0x45\t{}\t{}\t{}".format(i, ina1.bus_voltage, ina1.current))         i=i+1     sleep(0.5) 

これで29pinをVccに繋いだときだけ測定結果が0.5s刻みで画面に出るようになります。
タブ区切りにしておけば、そのままExcelに貼って集計できます。

入出力が安定するまで待った結果を5点取得し、中央値を結果として利用しています。

■総評
あまり効率は上げられなかったものの、手持ちの中では使える組み合わせを洗い出し、ACアダプタで使う分には問題ない範囲だったので、これでよしとしておきます。

意外だったのは、SMDのTK10Q60WがTHTと変わらない性能だったこと。
また、TK2Q60Dの性能の低さ。on抵抗が高いとダメということでしょう。
1JU41はやはり強いです。RS1Mは全く対抗馬になりませんでしたが、US1Mでも及ばずでした。

■その他
最後に、実験風景など。

アドレス検証および2モジュール同時接続試験。

実際の測定。測定環境をしっかり準備したので、測定自体は相当スムーズにできました。

以上です。



2025年10月26日日曜日

Push-Pull習作:12AX7-12AT7-12BY7A pp Amp、Non Deluxe Non Reverb Add AC30を作る

(※注意:本稿では高電圧を扱う回路を木片で作成しておりますが、万一同様の取り組みをなされるときは感電、火災にご注意ください。特に木片の絶縁性能は湿度などの環境で大きく変化する可能性があるため、ご注意ください。)

■動機

最近、 Xを通じてエフェクターやアンプを作っている方々と繋がりを持てたことで、製作のモチベーションも上がったし、先輩から指導や情報共有いただけることで学習曲線が大幅に上向いてきたように感じます。

その中で気になっていたのが、真空管ギターアンプを主に作っている方々が皆Push-Pullを主に作られていること。何か理由があるはずなので、それを探るべくPush-Pullアンプを作ってみることに決定。

■構成の検討

Leo Fenderを勝手に尊敬しているので、やはり最初はLeoさんの回路を参考にしたい。Reverbを作るときによく見ていたし、Fender系でいいアンプとしてよく名前を聞くのでDeluxe Reverb(デラリバ)を元ネタにすることに決定。

ただし、デラリバはリバーブあり、トレモロあり、というデラックスでゴージャスな構成なので、習作でいきなり全部作るのは荷が重い。また、固定バイアスで負電源C -35Vがいるのもちょっと面倒。

まず、リバーブは前に作ったし、トレモロは個人的にあまり必要性を感じないのでオミットする。デラックスじゃなくなる。

バイアスについては、同じく古典回路で出力段が自己バイアスなVOX AC30にも元ネタになっていただく。AC30はグリッド抵抗をそのまま接地する代わりに、4球のKを50Ωで接地している。これは楽でいいです。

■球の検討

Leoさんに倣いつつ手持ちですぐ使える球として、12AX7を選定。最初はムラード位相反転にも12AX7を使おうとしていたが、よく考えたら手持ちに12AT7があったのでそちらに変更。

出力管は、12AQ512BY7Aで迷いつつ、MT9ピンで揃えたら綺麗だなと思ったのと、今回は電源トランスを使うので12AQ5では6.3V1層で点火できないので、12BY7Aを使うことに決定。

■回路図

構成、球が決まったので、回路図に落とし込む。


特別なことはなく、素直に元ネタを清書しただけです。

■実体配線図

今回は、手早く金属加工せずに実験したいので、合板と真鍮釘、金属板を少々使って元祖ブレッドボードで作ります。

この実体配線は我ながらなかなかいい出来なんじゃないかと。

■実装

今回、実装が一番面白いのではと思います。色々と工夫を凝らして、安くて手堅く、金属加工レスで実装しています。

VRと真空管ソケットはホームセンターの安いL字金具を活用。1個数十円。特に真空管ソケット部分は、合板の側面にネジ止めし、黒く塗った割りばしに鋼線で縛りつけています。ある程度の強度はあるのに、楽に加工できます。


また、元祖ブレッドボードでは、ネジと圧着端子があれば基板のどこでも端子台になります。これがまた便利です。

ちなみに、真鍮釘は垂直にペンチを構えて圧入するのが一番オススメです。叩くより静かでミスしにくいです。圧入できないような堅い木はブレッドボードには向かないでまず木を替えましょう。


完成形です。NFBはこの後付けました。

トランスはゼネラルトランスさんのPMF-8P-10Kを利用。PPトランスの中ではかなりお買い得。

■試験

NFBも実装し、音出し試験完了。感想としては、「太い、広がりがある」。出力段の信号経路にケミコンが無い故か、低域からしっかり音が出て、朗々とした印象を受けます。

歪み方も、ファズのように毛羽だってじゅわじゅわする感じで、同じ球を使った12AX7-12BY7A Champとは別物に感じます。

今度はスタジオでしっかり鳴らして、もっと違いを深堀したいと思います。

■測定(途中、後編に続く?)

一通り音を楽しんだので、最後に要所を実測。Blogを書くうちに眠たくなってきたので、値のみメモします。

BY7 Erp=218V Ek=3V Ik=30mA Ig2=3mA Eg2=155V AT7マラード Erp=135V Ep=78.7V,69.6V Ek=29.2V Ik=1.4mA AX7後 Erp=124V Ep=72.6V Ek=0.67V Ip=0.52mA AX7前 Erp=124V Ep=81V Ek=0.65V Ip=0.44mA

ちなみに、Erpはプレート負荷抵抗の電源側の対GND電圧です。(Erp - Ep)÷Rp=Ipです。

細かい分析と次のアクション案はまた今度。

以上。



2025年8月10日日曜日

真空管式Spring Reverb Driverを1590A手乗りサイズで作る③(実装編)

 3部作の最後です。

真空管式Spring Reverb Driverを1590A手乗りサイズで作る①(自作タンクの挫折編)
真空管式Spring Reverb Driverを1590A手乗りサイズで作る②(タンクの手配、回路検討、球とOpt転がし編)
真空管式Spring Reverb Driverを1590A手乗りサイズで作る③(実装編)

①でスプリングリバーブの勉強しつつタンクの自作に失敗し、②で有名メーカーのタンクを手に入れて回路検討からブレッドボードでの検証までを行いました。

最後、③ではHammond 1590Aへの組み込みを行います。

できたものはこちら。


音はXのポストをご参照ください。
pic.twitter.com/xS3DJKwRbS 

■実装

・配置の検討
まず大まかな配置を決めます。


で、各部品を加工しながら位置決めしていきます。

・Optの天地返し
T-600の中身をさかさまにして、実装しやすくします。慣れると5分くらいでサクっとできます。


・穴あけ

・仮組み

・実体配線図の最終化
ここまでくると位置関係も最終化できるので、実体配線図を考えます。あとはそれに従ってひらすら実装あるのみ。

・実装

途中経過。まず真空管ソケット部分の抵抗から。

DCDCコンバータ。


最終形の中身。

■まとめ
結果、手乗り真空管式Spring Reverb Driverとして仕上がりました。


今回、リバーブタンクを一通り使えるようになり、MIX回路やカソードフォロワもいじれるようになったのが大きいです。
この先の取り組みとして、キャビネットを作ってリバーブタンクとドライバー、そしてパワーアンプを一体で扱えるよにしたいですね。
木工が必要になるので、取り組みはだいぶ先になるかと思います。

以上です。

真空管式Spring Reverb Driverを1590A手乗りサイズで作る②(タンクの手配、回路検討、球とOpt転がし編)

3部作の中編です。

真空管式Spring Reverb Driverを1590A手乗りサイズで作る①(自作タンクの挫折編)
真空管式Spring Reverb Driverを1590A手乗りサイズで作る②(タンクの手配、回路検討、球とOpt転がし編)
真空管式Spring Reverb Driverを1590A手乗りサイズで作る③(実装編)

①では、リバーブタンクから自作しようとして撃沈するところまでをお伝えしました。
②は、Accutronicsのちゃんとしたタンクを使って、回路図を練って完成させるところまでを記録します。

回路図と実体配線図はこちら。ただし、実体配線図は生煮えで、空中配線だらけで大変なのでオススメしません。回路図はあるお方のご指導もあり、わりといいものに仕上がっていると思います。



音はXのポストをご参照ください。

■Accutornicsリバーブタンクの手配
オークションを探しているとジャンクながら綺麗そうなものを見つけたので試しに落札。
調べてみると、OUT側の緑の配線が外れているだけで、これを直したら呆気なく直りました。
その後、昔100均で買ったステレオ⇔RCAのコードが断線しかかっていたなど別のトラブルはありました。

■回路の前検討
林先生の回路解説、FenderのDelux Reverb等の定番回路、Schematic HeavenにあるDan ElectroやPremierの古典回路を参考に、どんな回路にするか考えます。

・設計ポイント
自分として外せないのか以下のポイント。
  1. なるべくコンパクト、できればHammond 1590Aの手乗りサイズに仕上げる
    1. 球はMT管2球まで
    2. Optは東栄T-600
  2. なるべく流通量の多く新品も手に入る、高価でない球を使う
    1. 12A*7シリーズや6BM8など
色々考えた末に、Dano 9100 Spring Reverbをベースに、Fenderのエッセンスを入れた回路にすることに。
Dano 9100は球の数が少なく、比較的シンプル。Fenderの回路は、球の数が多いものの、林先生をはじめとし、音の良さが証明されている点が心強い。

・参考回路:9100と考察
以下、9100を清書した図。初段は12AX7に書き換えています。
6C4はMT7では定番の電力増幅3極管のようです。μ 17, rp 7.7kと、12AU7の片側みたいな球です。というか、6C4をベースに12AU7が生まれたようですね。
9100を参考にするにあたり注意が必要なのは、回路には書かれていないがリバーブユニットの入力インピーダンスが非常に高そうなところ。
3極管で直接ドライブしているようなので。
また、最終段はタンクの出力をカソードフォロワで出しているが、手持ちのタンクだと十分な電圧になるかも心配。
そして、特にDRYの信号は高抵抗を通ってそのまま外に出ていくので、Zが高すぎないかも心配。
ロー出しハイ受けというようなオーディオ回路の常識が固まる前の、大らかな時代だったのでしょうか?

ここは、手元のタンクがIN 8Ωなので、Optを噛ますことにする。
東栄T-600を動かすためには、よく使っている12AQ5にするか、それともFenderの作例にならって12AT7をパラレルで使うか、出力管としてもよくつかわれる12AU7を使うか、がやりやすそう。
ここは、一度全パターン作って鳴らしてみることに。

初段は、増幅度を稼ぎたいので12AX7にする。定数も、5F1よりも高いゲインになるようにRpを大きめにする予定。

・DRYの高抵抗は?
林先生のサイトでも言及されているが、9100やFender方式だと、DRYは1MΩ以上の高抵抗を直列で通ってMIX回路に行く。
しかも、Reverb信号の正帰還にもなっているので、単純に考えるとお行儀のよくない回路と言える。
Premier M-90なんかは、初段でDRYをカソード側から取り出して、信号が混ざらないようにしている。お行儀がいい。
果たしてどっちがいいんでしょうか?

■回路の検証
ここまでを踏まえて、3パターンを考えてみた。
初段とMIXは9100を踏襲し、12AU7を使う回路のみ、3極管が1ユニット余るので②のようにドライブを補強するか、③④にようにカソードフォロワの入れ方を変えて考えてみる。

(回路方式や定数の選定にあたり、Xで関わらせていただいたある方にご指導いただいたお陰で一気に完成度が高まりました。パターン①の修正部分などに名残があります。この場をお借りしてお礼申し上げます。)

パターン①:12AQ5ドライブ

パターン②:12AU7 2ユニットドライブ

パターン③:12AU7ドライブ、DRYをカソードフォロアで分離

パターン④:12AU7ドライブ、最終段をカソードフォロワでZ変換(最終稿)

■ブレッドボードで試験
試験回路を組んで、回路形式をとっかえひっかえして試してみる。

・3極管か5極管か?1ユニットか2ユニットか?
まず①は普通にリバーブとして使える音にはなった。
続いて、本命の②以降を試してみる。
②は、聴覚上①とほぼ変わらない。②がOKだった時点で12AQ5は入手性が悪いので①は取りやめ。
5極管ならではの音になると期待していたが、タンクを鳴らすうえでは差が小さいようだ。

さらに、思い立って12AU7から12AT7にしてみると、こちらのほうが断然ギターっぽい。
12AU7は音がオーディオっぽくなってノれない。

ついで、②のパターンで12AT7の1ユニットを試しに止めてみるが、こちらも問題無し。
林先生のページにもタンクを鳴らすには1W以下で十分とあったし、大げさな電力増幅管はいらないようだ。

・どこにカソードフォロワを使うか?
ここまでの実験から、本命は③か④に絞られた。9100に比べて1ユニットまだ余力があるので、これの使いようで新しい取り組みができる。

ある意味一番面白い③をまず試してみたが、すっきりしすぎていて面白くない。
あの正帰還や、DRYが高抵抗を通る部分に意味があるっぽい。
天才Leo Fenderが作って、長年愛されてきた回路ですから、素人の付け焼刃では太刀打ちできないですね。

最後に、④を試してみる。これがなかなかびっくりの結果でした。
スピーカーを鳴らすのに手乗り5F1を使っていますが、どうやら元の9100の回路のままだとZが高すぎるようで、カソードフォロア無しだと広域がごっそり抜け落ちていました。
最終段のカソードフォロアありだと、広域まですっきり聞こえてモダンな音色になります。
これはなかなか意味ありでした。

■玉転がし
手元にはJJの12AX7、東芝の12AX7, 12AU7、NECの12AT7があります。
5F1も含め、これを適当に組み替えて一番いい組み合わせを探りました。

1番影響が大きいのは、5F1のプリで、ここはJJじゃないとダメでした。
残りはタンクのドライバーに12AT7がよい、というくらい。
次に球を買う機会があれば、JJの12AT7も試してみたいですね。

■トランス(Opt)転がし
手元に、T-600 7kとオリエントコアT-600 7k, 12kがあります。
完成形の④をベースに、Opt自体やタップの組み合わせを変えて聴覚チェックしてみました。
単純に考えると24k:8Ωでオリエントコアを使うのが一番よさそうでしたが、変にすっきりしすぎて面白味がなくなってしまいました。
オリエントコアは、オーディオ用と考えたほうがよさそうです。
結局、14k:8Ω相当として使うよりも7k:8Ωで鳴らすほうがよかったです。
いつも通りの結線に落ちつきました。

ここまで回路も固まったので、あとは最後の実装編です。