2025年7月9日水曜日

ウィーンブリッジ発振回路の実験

■ウィーンブリッジ発振回路

1.6MHzの正弦波を簡単な部品で作りたい。

OpAmpを使う方式として、ウィーンブリッジというものがあるらしい。

https://cc.cqpub.co.jp/system/contents/1552/


意味合いとしては、G=3の非反転増幅回路にバンドパスフィルタをつけたもの、と言えるらしい。

このバンドパスフィルタは、R1=R2, C1=C2のとき、f=1/(2πR1C1)となる。

逆算すると、1kΩと100pの組み合わせにすればよい。


単電源での実装はこちらがわかりやすい。

https://araisun.com/wien-bridge-oscillator.html


上記を参考に、回路をシンプル化しつつ、OpAmpの余った分をバッファアンプとした。


こちらを、実際に回路を組んで試してみる。

■結果
TL072Pで回路を作り、R1C1をいくつか変えてテストしてみる。
結果は以下の通り。

🆗51kΩ+104,G=3 31Hz 🆗1kΩ+104,G=3 1.59kHz

🆖51kΩ+102,G=3 理論値31.2kHz 🆖1kΩ+102,G=3 理論値1.6MHz 🆖1kΩ+102,G=6 理論値1.6MHz

102を使うと、うまく動作しなくなる。
OpAmpの速度もゲインも足りないっぽい。

そもそもうちにあるOpAmpは以下のみ。
  1. 4558DD
  2. TL072P
  3. TA75558P
  4. LF353N
  5. JRC2737D
  6. MCP6022
1-5はすべてGB籍が3-4MHzしかないので、1.6MHzには使えないよう。
また、MCP6022はGB籍が10MHzだが、これでもまだ不十分で、しかもCMOSなので耐圧が5.5Vまでしかない。

試しに、電圧をLiPo 4Vに落として試してみる。
🆗1MΩ+102,G=3 1.45kHz
🆗51kΩ+102,G=3 27.9kHz
❓1kΩ+102,G=6 0.6MHz

結果、手持ちの組み合わせでは実験からも高周波数では使えないと分かった。

OpAmpは高周波には向かないということがよくわかった。
トランジスタ単体なら2SC1815でもft=100MHzと十分なので、今度はコルピッツ発振器などをためしてみたいと思う。


以下、https://www.falstad.com/circuit/circuitjs.htmlのコード。

$ 1 0.000005 0.41233529972698213 50 5 43 5e-11
r -96 272 -96 224 0 10000
c 224 224 160 224 4 0.000001 -10 -10 0
a 80 224 160 224 8 15 -15 1000000 0 0 100000
a 224 208 304 208 8 15 -15 1000000 0 0 100000
r -96 192 -96 144 0 10000
w -96 192 -96 208 0
w -96 208 0 208 0
w -96 208 -96 224 0
w 224 192 224 144 0
w 224 144 304 144 0
w 304 144 304 208 0
w 304 208 336 208 0
r 80 208 32 208 0 10000
g -96 272 -96 288 0 0
R -96 144 -96 112 0 0 40 9 0 0 0.5
r 128 144 80 144 0 22000
w 80 208 80 144 0
w 128 144 160 144 0
w 160 144 160 224 0
r 160 272 160 224 0 1000
c 144 304 112 304 4 1e-10 -10 -10 0
c 0 288 0 240 4 1e-10 -10 -10 0
w 160 272 160 304 0
w 160 304 144 304 0
w 112 304 80 304 0
w 80 304 80 240 0
w 80 304 0 304 0
r -48 288 -48 240 0 1000
w 0 288 0 304 0
w 0 304 -48 304 0
w -48 304 -48 288 0
w -48 240 0 240 0
w 0 240 0 208 0
w 0 208 32 208 0
O 336 208 368 208 0 0
o 34 1 0 4098 20 0.1 0 1
38 1 F1 0 0.000001 0.000101 -1 Capacitance
38 0 F1 0 1 101 -1 Resistance

2025年7月8日火曜日

PETのフタで世界最小のFuzz Faceを作る

(たぶん)世界最小のエフェクター、ボトルキャップFuzz Faceを作りました。

ペットボトルのキャップに、INとOUTの3.5mmジャックとDCコネクタ、VolとFuzzのノブ、電子回路のすべてが詰まっています。
プリント基板や部品実装サービスは一切使わずに、ユニバーサル基板で手作りしています。

必要な部品はすべて秋月電子で手に入ります。

■構想段階
Xを見ていたらガチャガチャの景品サイズのエフェクターなるものを見つけました。
Otodelさんのは実際に動くものです。

こういうものを見ると俄然燃えてきます。
これまでエフェクターについては6.3mmジャックと電池内蔵を前提に考えてきましたが、ミニジャック3.5mmを使えるなら話は別です。
まだまだ小さく攻める余地はあるはず。
とにかく小さい回路を手で作るのが好きなんです。

ライバルとレギュレーションを揃える意味で、3.5mmジャックは使うものの、電源端子は2.1mmを搭載することに。
ただ、単純に小さいだけじゃ面白くないですし、プリント基板を使った既製品と競ってもいい結果にならないと思います。

他の回路開発も進めながら何となく考えていると、Fuzz Faceの丸とペットボトルのフタが頭の中で重なって、「Bottle Cap Fuzz Face」というキャッチーなネタが降ってきました。
語感もいいし、皆さんがイメージしやすいサイズでインパクトもありそうなのでこれでいくことに。

■実装検討
ポッドは半固定抵抗を活用。
ジャックはマル信無線のスルーホール実装のを使うとコンパクトに済むし、ちょうどボトルキャップの直径と同じくらいでいい感じ。
DCも、上下のクリアランスを使えばうまく入る。
スイッチは、オルタネートで秋月で簡単に手に入るのはDPDTまでだったので、トゥルーバイパスは諦めて、OFFでもIN側がぶら下がるつくりで妥協する。
このデバイスに音質を求める人はいないし、LEDを光らせるほうがよほど大事だからです。

実際にケース加工して押し込んでみる。左側はより目になって失敗したもの。
2つ目のキャップは大成功。

Hammond 1850Bと比べると小ささが際立つ。

配線前の姿。頑張ればゲルマトランジスタでも使えそうな余裕がある。

■実体配線図と基板作成
検討した実体配線図と、必要な部品を集める。
いい容量のTaコンデンサが手に入ったので、一部は積層セラミックコンデンサではなくTaにした。

コツとして、最初にチップ部品を木工用ボンドで仮止めする。
ボンドは、紙に多めに出して、リード線の切れ端ですくって使うのがおすすめ。
右下のほうの白い四角はLEDです。モードによって色が変わったら面白いかな、と。

あとは、配線引っ張ったりはんだ付けするのみ。

配線完了し試奏するも、バイパスなら音が出るのに、エフェクトONだと無音です。
配線を総チェックするも、すべてOK。
次に、コンデンサと抵抗の容量をすべて測っていく。
すると、2段目のトランジスタのコレクタに繋がっている7.5kΩ(原典は8.2kΩ)が数MΩになっている。
抵抗を焼き壊したっぽいので、置き換えないといけない。
しかしながら、ここで抵抗を無理に張り替えようとすると基板の蛇の目が取れたり、他のパーツが焼けたりとうまくいかない可能性が高い。
ここは、実利を取ることにして、元の抵抗のうえにもっと小さい1608の抵抗7.5kΩを載せてしまうことにした。
以下の画像が、子亀が乗った後の図。

結果、トラブル解消しうまく音が出るようになりました。
世界最小のFuzz Face、たぶんDC2.1mmジャックが差せる中では世界最小級のエフェクターの完成です。

実際の動作はXで見てみてください。
https://x.com/i/status/1942246276466442554

以上。