
matsu-log
電子工作、プログラミング、その他の試行錯誤の記録です。 ArduinoとPythonが多め。
2025年5月19日月曜日
めちゃくちゃ実装効率のいいFuzz Faceクローンを作る②

めちゃくちゃ実装効率のいいFuzz Faceクローンを作る①
部品ボックスを整理していると、BC108とBC109が2つずつ見つかった。
大昔に、Fuzz Faceを作れるよう買いだめして、そのまま放置していたっぽい。
在庫整理を兼ねて、Fuzz Faceを作ることに。
回路図は「Fuzz Face Schematic BC109」などで調べればすぐに出てくる。
さすがに60年近く前のエフェクターなので、公知の技術として扱ってもよい気もするが、権利関係がよくわからないので直接は触れないでおく。
今回作った実態配線図は以下の通り。※TOP View、抵抗はすべて縦置き
こだわったポイントは以下の通り。- 基板実装型の9mm角のVRを使って、ポッドへの配線をゼロ化
- できる限り基板の面積を最小化=実装効率を最大化する
- 信号IN/OUTと電源、GNDの配線はなるべく基板の周囲に寄せて取り回しやすくする
- 片面実装、片面配線にする(ジャンパは使わない)
もっと改善できた!というときはぜひ教えてください。
2025年5月1日木曜日
NJM2360、NJM2374やMC34063などでほしい電圧を作るための抵抗の組み合わせを簡単に計算させる
多くのスイッチング電源ICは、参照電圧Vrefが一定になるようにスイッチングをON/OFFもしくはPWM制御してくれる。
基本は、「ほしい電圧になる抵抗の組は何か?」「特定の抵抗を組み合わせたとき、何Vを作る電源になるのか?」の2つが知りたい。
オームの法則で簡単に解けるけど、いちいち紙に書いたり電卓を使うのすら面倒なので、一発で計算してくれるツールを作った。
https://codepen.io/ullah/full/wBBpXxM
個人的には相当便利だと思うので、試してみていただきたい。
2025年4月29日火曜日
Mini Champ 5C1を作る
Champ 5F1もどきがうまくいったので、次は5C1を作ってみる。
というのも、Mini 5F1はMT9→MT7という並びがちょっとアンバランスに見える。
また、今まで5F1しか作ったことがないので、プリが5極管のときの音も聞いてみたい。
■真空管の選定
本家は、プリ6SJ7→パワー6V6GTという構成。5極管+5極管。
プリに使えそうなMT管を調べてみると、6AU6ファミリがちょうどよさそう。
パワー管は12AQ5を使いまわしたいので、プリ12AU6→パワー12AQ5の組み合わせに決定。
■回路図、実態配線図
回路図はhttps://www.google.com/search?q=5C1+schematicで探してください。
よくあるシングルアンプだが、初段はグリッドリークバイアスによって部品点数を削減しているのが面白い。
プレートがそのまま接地され、第1グリッドにはグリッドリーク抵抗5MΩをつけて、コンデンサを挟んで入力を受けている。
このカップリングコンデンサを除くと、初段のバイアスが崩れるので要注意。
常備部品に1Mを超える抵抗がなかったので、急遽aitendoで部品を追加した。
■実物
で、できたのがこれ。
前作と違い、パワー管を少し左にオフセットさせている。
5F1で感覚をつかんだので、相当早く作れるようになった。
1番時間がかかったのは、プリ管に採用した12AU6のオークションでの到着待ち。
はらわたはこんな感じ。
だんだん感性がマヒしてきて、まだまだスペースがあるように感じてしまう。
今回は、3Dプリンタの活用範囲をさらに広げた。
FET固定だけでなく、コンデンサの固定台も作成。
OPトランスのネジと共締めできるようにしている。
アンプが小さすぎてエフェクターがバカでかいように見えてしまう。
ボリュームを絞ったときのコントロールのしやすさはこちらのほうが明らかに上。やはり12AX7の2段はゲインが有り余っているのでは?
2025年4月17日木曜日
Mini Champ 5F1を作る②
手乗りアンプができた。音もいい感じ。ちゃんとFenderの音がしている・・・気がする。
いい具合にスタックできる。実態配線図。実際に作ったものとは配置が微妙に異なるが、回路は同一。
2025年4月14日月曜日
Mini Champ 5F1を作る①
ぺるけさんの真空管式とトランジスタ式ミニワッターが完成してオーディオ環境は十分になった。次は真空管のギターアンプが欲しい。
実家に昔作ったChamp 5F1のデッドコピーはあるものの、音もボディも大きすぎる。
また、ずいぶん昔からB電源にスイッチング電源を試したいと思いつつ何度も挫折してきたので、そろそろリベンジしたい。
というわけで、信号は5F1系のフルチューブ、B電源は自作のチョッパー、A電源は12Vのスイッチング電源という構成で考えてみる。
■参考文献
真空管は熱い!さん:https://vacuumtuber.com/2024/10/29/post-2161/
前者は小型化、チョッパーの実装が大変参考になる。使うコイルの種類や値、FRDを1JU41にするなど、色々真似させていただいた。小型ケースに詰める技術も凄まじい。
後者は球と回路定数の選定で参考にさせていただいた。6V6系の選択肢として6AQ5があると知り、その家族の12AQ5を使うことにした。
■回路の実験
電源は12VからDC-DCチョッパーで250Vを作る。6V6よりも6AQ5のほうが耐圧が低いみたい。6Vを作るのが面倒なので、12AQ5にする。
定数は5F1と先人のものをほぼ踏襲。
ブレッドボードで試作。結構いい音。スピーカーは昔作ったFE83Eで、相性いい。
ケースを加工していく。TENTECさんに刺激され、タカチのHammond 1590A互換で組む。
真空管とトランスを載せたところ。
手乗りサイズなのに立派に真空管アンプなのが面白い。
VRを9mm角に付け替えたいのと、1.5kΩの抵抗が材欠なので、残りの実装は部品が来てから。
2024年10月21日月曜日
2073 BTLで簡易ギターアンプを作る
エフェクターを繋ぐため、386スモーキーアンプよりもクリーンで癖のないパワーアンプが欲しくなった。時間をかけず、手頃なIC一発で組むことに。
大したものではないが、完成した回路は以下の通り。
■パワーアンプ部分
ネットで参考になりそうな事例を漁っていると、NJM2073の回路がいくつか見つかった。NJMのものはディスコンで秋月でも手に入らないが、M2073というセカンドソースは今でも入手可能のよう。こちらはLM386/NJM386によく似たパワーアンプICだが、ゲイン調整ができない代わりに2回路入りというもの。
2回路あるので、それぞれから逆位相の信号を出すようにし、スピーカーを挟むBTLというつなぎ方もできるらしい。出力用のカップリングコンデンサが不要になるのと、理論上は倍の電流でスピーカーを駆動し大きな音を取り出せることがメリットのよう。
■入力インピーダンスのケア
2073は386系と違って入力抵抗が100kΩと高く使いやすいが、ギターのピックアップやウクレレのピエゾを繋ぐにはまだまだ低インピーダンス。試しにブレッドボードでBTLアンプを組み、7ピンの入力に直接ウクレレのピエゾ出力を繋いでみたが、やはりローがすっぱり消えてしまってキンキン音にしかならない。なので、2SK30Aのソースフォロワを前段に据える。
ソースフォロワ部分は、バイアスをかけず、コンデンサも入れず、入力抵抗も無しにした。試しに1MΩの入力抵抗をつけたが、それでも音痩せしてしまう。ピエゾを受けるには数十MΩが必要なのだろう。入力抵抗無しでも特にノイズが乗ったり等は無かったので、電気回路としてあるべきかはわからないがひとまず無しにした。バイアスとカップリングコンデンサもお作法としては入れるべきなのだろうが、手持ちの楽器を繋ぐ分には特に音割れすることも無かったので割愛した。
本来はソースに固定の抵抗を繋ぎ、コンデンサで交流だけを取り出してから可変抵抗で分圧する。可変抵抗を直接ソースに繋ぐと、ボリュームを絞るほどRCのバランスがハイパスフィルター寄りになり、ローが通らなくなるが、聴覚上問題なかったのでこの構成にしている。
■コンデンサの定数およびの検討
検討といっても、オームの法則とハイパスフィルタ・ローパスフィルタの基本原則くらいしか知らないし、安いテスターしか持っていないので、理論や計測ではなく現物を耳で聞いて自己満で判断しているだけ。
5ピン8ピンの間の104は、データシートだと10uFになっている。これをタンタル10uFにすると、低音も高音もしっかり出るようになった。ケミコン10uFだとローは同じくらいだが、高域が少し濁った感じになる。104だと、程よくローカットされてすっきりする。オーディオアンプとしてはタンタルが1番な感じだが、楽器として使う場合は好みでよいと思う。
5ピンに繋いだ103はデータシート通りだが、これもセラミックにするかフィルムにするか、定数を下げるか等がチューニングのポイントになる。
最後に、スピーカと並列の抵抗+コンデンサがあるが、こちらは発振防止のためのよう。元は1Ω+0.22uFだが、音痩せしすぎるので10Ω+104にしている。
■試運転と雑感
回路図通りにブレッドボードで組んでVOX MINI3のスピーカに直結し、ウクレレとギターで鳴らしてみたが、本当に素直な音がする。足し引きが無いという感じ。
VOX MINI3は音を変えて軽く遊ぶ分には面白いけど、ノイズが多いし弄り回した音になってしまう。エフェクターを繋いでもキャラクターがわかりづらい。対して、2073アンプならエフェクターの個性がよくわかる。
ワンコイン以下で、ウクレレの練習用+ギターのエフェクター試験用アンプという目的達成できたので非常に満足。