2025年5月1日木曜日

NJM2360、NJM2374やMC34063などでほしい電圧を作るための抵抗の組み合わせを簡単に計算させる

多くのスイッチング電源ICは、参照電圧Vrefが一定になるようにスイッチングをON/OFFもしくはPWM制御してくれる。

基本は、「ほしい電圧になる抵抗の組は何か?」「特定の抵抗を組み合わせたとき、何Vを作る電源になるのか?」の2つが知りたい。

オームの法則で簡単に解けるけど、いちいち紙に書いたり電卓を使うのすら面倒なので、一発で計算してくれるツールを作った。

https://codepen.io/ullah/full/wBBpXxM



個人的には相当便利だと思うので、試してみていただきたい。

2025年4月29日火曜日

Mini Champ 5C1を作る

Champ 5F1もどきがうまくいったので、次は5C1を作ってみる。

というのも、Mini 5F1はMT9→MT7という並びがちょっとアンバランスに見える。
また、今まで5F1しか作ったことがないので、プリが5極管のときの音も聞いてみたい。

■真空管の選定

本家は、プリ6SJ7→パワー6V6GTという構成。5極管+5極管。

プリに使えそうなMT管を調べてみると、6AU6ファミリがちょうどよさそう。

パワー管は12AQ5を使いまわしたいので、プリ12AU6→パワー12AQ5の組み合わせに決定。

■回路図、実態配線図

回路図はhttps://www.google.com/search?q=5C1+schematicで探してください。

よくあるシングルアンプだが、初段はグリッドリークバイアスによって部品点数を削減しているのが面白い。
プレートがそのまま接地され、第1グリッドにはグリッドリーク抵抗5MΩをつけて、コンデンサを挟んで入力を受けている。
このカップリングコンデンサを除くと、初段のバイアスが崩れるので要注意。

定数は以下のように置き換えています。
常備部品に1Mを超える抵抗がなかったので、急遽aitendoで部品を追加した。
 5MΩ→4.7MΩ、2MΩ→2.2MΩ、500Ω→470Ω、25kΩ→22kΩ、8uF→6.8uF

実態配線図はこんな感じ。昇圧関係は5F1の記事参照。
特筆すべきところは無いけど、MT9の双3極管からMT7の5極管になったことで相当回路を組むのが楽になっている。
工作初心者には5C1のほうがおすすめ。

■実物

で、できたのがこれ。
前作と違い、パワー管を少し左にオフセットさせている。

 

5F1で感覚をつかんだので、相当早く作れるようになった。
1番時間がかかったのは、プリ管に採用した12AU6のオークションでの到着待ち。

はらわたはこんな感じ。
だんだん感性がマヒしてきて、まだまだスペースがあるように感じてしまう。

今回は、3Dプリンタの活用範囲をさらに広げた。
FET固定だけでなく、コンデンサの固定台も作成。
OPトランスのネジと共締めできるようにしている。


これは没だけど、よそで使えそう。

左から5C1、5F1、某Fuzzエフェクターのコピー。
アンプが小さすぎてエフェクターがバカでかいように見えてしまう。

裏面。

■試奏
住宅事情もあり大した音量は出せていないが、5F1よりもなんというかギラつきがあるように感じる。
ボリュームを絞ったときのコントロールのしやすさはこちらのほうが明らかに上。やはり12AX7の2段はゲインが有り余っているのでは?
この違いが、パワー管で歪ませるときにどう変わってくるかは、またしっかり音を出せる環境で検証してみたい。

以上

2025年4月17日木曜日

Mini Champ 5F1を作る②

 ①からの続き

手乗りアンプができた。音もいい感じ。ちゃんとFenderの音がしている・・・気がする。

いい具合にスタックできる。
はらわたはこんな感じ。行き当たりばったりで組んでしまい、相当汚くなってしまった。電源系とボリューム周りはユニバーサル基板で組んだほうがいいのかも。

これは3Dプリンタで作ったナット固定治具。TO-220の穴に合わせてナットを固定できるようにしている。FETをケースにねじ止めするときにめちゃくちゃ楽になる。


途中経過。このときはまだ整然としていた。

実態配線図。実際に作ったものとは配置が微妙に異なるが、回路は同一。




2025年4月14日月曜日

Mini Champ 5F1を作る①

ぺるけさんの真空管式とトランジスタ式ミニワッターが完成してオーディオ環境は十分になった。次は真空管のギターアンプが欲しい。

実家に昔作ったChamp 5F1のデッドコピーはあるものの、音もボディも大きすぎる。

また、ずいぶん昔からB電源にスイッチング電源を試したいと思いつつ何度も挫折してきたので、そろそろリベンジしたい。

というわけで、信号は5F1系のフルチューブ、B電源は自作のチョッパー、A電源は12Vのスイッチング電源という構成で考えてみる。


■参考文献

TENTECさん:https://marinesnow-jp.jimdofree.com/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/%E7%9C%9F%E7%A9%BA%E7%AE%A1%E3%83%9F%E3%83%8B%E3%82%AE%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%97/mini-fender-champ-aa764/

真空管は熱い!さん:https://vacuumtuber.com/2024/10/29/post-2161/

前者は小型化、チョッパーの実装が大変参考になる。使うコイルの種類や値、FRDを1JU41にするなど、色々真似させていただいた。小型ケースに詰める技術も凄まじい。

後者は球と回路定数の選定で参考にさせていただいた。6V6系の選択肢として6AQ5があると知り、その家族の12AQ5を使うことにした。


■回路の実験

電源は12VからDC-DCチョッパーで250Vを作る。6V6よりも6AQ5のほうが耐圧が低いみたい。6Vを作るのが面倒なので、12AQ5にする。

定数は5F1と先人のものをほぼ踏襲。

ブレッドボードで試作。結構いい音。スピーカーは昔作ったFE83Eで、相性いい。

12AQ5が東芝製なので、プリにNEC製の12AT7を組み合わせてみた。

チョッパーも無事動作。10年以上失敗を繰り返してきたけど、原因はFRDとコイルとMOS-FETの選定ミスとわかった。まずは、素直に先人と同じ部品を買ったほうがいいというのが教訓。
FRDはとにかく応答が早く電流を多く流せるものがいい。電圧降下を気にするのはその後。
コイルはスイッチング電源用、大電流を流せるものにする。また、インダクタンスは大きければいいというものではないので、スイッチング周波数や取り出す電圧に応じてチューニングが必要。今回は220, 470, 680, 101, 221, 471を買いそろえて実験し、やはり221と結論になった。 
MOS-FETはRonとton/toffが重要。その次に入力容量。どれも小さいほどよい。

■実装前編
ブレッドボードでうまく動いたので、まずチョッパー部分をコンパクトに実装してみる。


実際に組むとこんな感じ。表面実装部品のお陰で相当コンパクトになった。FETは2SK3234で、秋月で手に入る。

ケースを加工していく。TENTECさんに刺激され、タカチのHammond 1590A互換で組む。

真空管とトランスを載せたところ。

トランスはT-600で、中身をひっくり返して足を内向きにまげて設置。新たに買ったねじ切りタップのお陰で、真空管ソケットとかをナット無しで固定できてめちゃくちゃ楽。

手乗りサイズなのに立派に真空管アンプなのが面白い。

VRを9mm角に付け替えたいのと、1.5kΩの抵抗が材欠なので、残りの実装は部品が来てから。

2024年10月21日月曜日

2073 BTLで簡易ギターアンプを作る

エフェクターを繋ぐため、386スモーキーアンプよりもクリーンで癖のないパワーアンプが欲しくなった。時間をかけず、手頃なIC一発で組むことに。

大したものではないが、完成した回路は以下の通り。


特に参考にしたのが可燃ごみ箱氏のギターアンプ。実質、先人の回路から前段のディストーションとトーン回路を除いただけなのだが、定数と部品だけは自分の手と耳を使って選び直した。

■パワーアンプ部分

ネットで参考になりそうな事例を漁っていると、NJM2073の回路がいくつか見つかった。NJMのものはディスコンで秋月でも手に入らないが、M2073というセカンドソースは今でも入手可能のよう。こちらはLM386/NJM386によく似たパワーアンプICだが、ゲイン調整ができない代わりに2回路入りというもの。

2回路あるので、それぞれから逆位相の信号を出すようにし、スピーカーを挟むBTLというつなぎ方もできるらしい。出力用のカップリングコンデンサが不要になるのと、理論上は倍の電流でスピーカーを駆動し大きな音を取り出せることがメリットのよう。

■入力インピーダンスのケア

2073は386系と違って入力抵抗が100kΩと高く使いやすいが、ギターのピックアップやウクレレのピエゾを繋ぐにはまだまだ低インピーダンス。試しにブレッドボードでBTLアンプを組み、7ピンの入力に直接ウクレレのピエゾ出力を繋いでみたが、やはりローがすっぱり消えてしまってキンキン音にしかならない。なので、2SK30Aのソースフォロワを前段に据える。

ソースフォロワ部分は、バイアスをかけず、コンデンサも入れず、入力抵抗も無しにした。試しに1MΩの入力抵抗をつけたが、それでも音痩せしてしまう。ピエゾを受けるには数十MΩが必要なのだろう。入力抵抗無しでも特にノイズが乗ったり等は無かったので、電気回路としてあるべきかはわからないがひとまず無しにした。バイアスとカップリングコンデンサもお作法としては入れるべきなのだろうが、手持ちの楽器を繋ぐ分には特に音割れすることも無かったので割愛した。

本来はソースに固定の抵抗を繋ぎ、コンデンサで交流だけを取り出してから可変抵抗で分圧する。可変抵抗を直接ソースに繋ぐと、ボリュームを絞るほどRCのバランスがハイパスフィルター寄りになり、ローが通らなくなるが、聴覚上問題なかったのでこの構成にしている。

■コンデンサの定数およびの検討

検討といっても、オームの法則とハイパスフィルタ・ローパスフィルタの基本原則くらいしか知らないし、安いテスターしか持っていないので、理論や計測ではなく現物を耳で聞いて自己満で判断しているだけ。

5ピン8ピンの間の104は、データシートだと10uFになっている。これをタンタル10uFにすると、低音も高音もしっかり出るようになった。ケミコン10uFだとローは同じくらいだが、高域が少し濁った感じになる。104だと、程よくローカットされてすっきりする。オーディオアンプとしてはタンタルが1番な感じだが、楽器として使う場合は好みでよいと思う。

5ピンに繋いだ103はデータシート通りだが、これもセラミックにするかフィルムにするか、定数を下げるか等がチューニングのポイントになる。

最後に、スピーカと並列の抵抗+コンデンサがあるが、こちらは発振防止のためのよう。元は1Ω+0.22uFだが、音痩せしすぎるので10Ω+104にしている。

■試運転と雑感

回路図通りにブレッドボードで組んでVOX MINI3のスピーカに直結し、ウクレレとギターで鳴らしてみたが、本当に素直な音がする。足し引きが無いという感じ。

VOX MINI3は音を変えて軽く遊ぶ分には面白いけど、ノイズが多いし弄り回した音になってしまう。エフェクターを繋いでもキャラクターがわかりづらい。対して、2073アンプならエフェクターの個性がよくわかる。

ワンコイン以下で、ウクレレの練習用+ギターのエフェクター試験用アンプという目的達成できたので非常に満足。

2024年10月3日木曜日

ZO-3ギターを、ハム⇔シングルで切り替えられるようにする

ハムバッカー4芯化で学習した内容を実践してみる。

スイッチ増設するか迷った末、安さと実装の楽さからピンヘッダ方式に決定。どうせライブで使うわけではないので結果十分だった。

最初は、4芯化して2回路3ポジションのスイッチでシングル⇔ハム⇔パラレルシングルの切替をできるようにしようと考えていたが、できるだけボディを加工したくないし、まずはシングルの音が使えればいいと割り切った。

この場合、2つのコイルを結んだ部分とGNDを短絡するかどうかを切り替えるだけでよい。

原理は以下の図に示す通り。
A-~B+の結線を、B-が繋がっているGNDに図右側のオレンジの線で短絡させると、Bのコイルの信号はすべてGNDに吸われるので、Aの信号だけが出る"シングルコイル"として使えるようになるというわけ。

今回はピックアプの端っこにピンヘッダをくっ付けて、シングルにしたいときだけヘッダを短絡させる作りにした。

元々はこんな状態。


シングル化の効果は聞き分け・弾き分けできるくらい顕著。
パワーが落ちる分ボリュームを上げる等対応は必要だけど、1台で出せるキャラクターの幅が大きく広がって楽しい。

ボディの加工に比べると数段楽で、気軽に試せる範囲と思う。



Mini Watter 6DJ8を作る

http://www.op316.com/tubes/mw/mw-6dj8pp-2017.htmの6DJ8全段差動PPミニワッター2017を作った。

■回路

回路、ラグの配置は原典をほぼ踏襲。
ラグは配置の問題から10+10の2枚に分けて、30V ZDの部分だけを片ラグに置き換える。
また、MT9ピンソケット周りも片ラグを排して空中配線する。
原典より小さい100x50x200mm程度のシャーシを使ったので、クリアランスがかなり厳しかったので、もう少し大きいシャーシがオススメ。
電源と無線系はシャーシの側面に配置し、電源トランスやアウトプットトランスの上にも基盤を配置するなど結構無理やり詰め込んでいる。

■費用

トランスが非常にお高く、電源用とOPT2つで3万近くなり、今回の構築費用の7割程度を占める。
真空管はヤフオクで旧ソ産2本2,300円のものをゲット。

■写真など

まずは電源を作ってテスト。


余っていたアルミシャーシを加工。
穴はステップドリルで一発だが、ニブラで綺麗に直線を切り出すのが難しい。

トランスの結線と配線の色を確認。右上にうっすら見えているのはメインの回路を組んだラグ板。

粗く配置を検討。

位置が決まったら、どんどん実装していく。

だいぶそれらしくなってきた。

あともう一息。








ここまで配線すればパワーアンプとしては完成。このときはAC100Vの配線直結だったが、あとでメガネコネクタ化してヒューズも追加した。
最後に、M5stamp+PCM5102Aで作ったBluetooth+I2Sユニットを組み込んで、スマホやPCから無線で直接ならせるようにしたら完成。

前に作ったトランジスタのTourer Part 5といい具合に収まっている。筐体は小さいが、トランスがあるので持ち上げると結構重い。

暗がりだとヒーターの灯りが映える。
せっかく旧ソ連の球なので、旧ソ連の音楽が聴きたくなる。

夜な夜な作業して、電源回路を組んでからパワーアンプとして動くまでだいたい7日、さらにBluetoothを組み込むのに4日くらいかかった。
慣れた人が集中してやれば土日で作れるかもしれない。
BOM(部品一覧)をちゃんと作って、1回の秋葉原詣でや通販で部品を仕入れ切るのがポイントかも。

音を出してみた感想は、さすがという感じ。
最初はヒーターの配線がイマイチでハムノイズがあったが、経路の見直しを行ったら非常にしずかで聞きやすくなった。